プローブポジショナについて
プローブポジショナ(プロービングアーム)はオシロスコープやテスターなどのプローブを保持するツールです。
プリント基板などへのプロービング(測定対象にプローブを接触させること)状態を維持します。
電子部品の超小型化や高速化によりプロービングの難易度や重要性は以前にも増して高まっています。
米国 Tektronix社製 オシロスコープ
米国 Keysight Technology社製プローブを弊社PF-270に装着
ミコジック社のプローブポジショナは、「短い時間で非常に安定したプロービングが行える」という特長から電機メーカー、自動車関連メーカー様、大学等研究機関様等を中心に多くのお客様にご採用、リピート注文をいただいております。
→ ミコジック・プローブポジショナ導入先企業・研究機関一覧
~ 開発経緯及び概要 ~
受託開発していた産業用検査装置等の回路設計において、回路基板や部品の高速化、微細化等によりプロービングの難易度が高まっており、この問題を解決するために社内及び委託先用として開発を開始しました。
当初の試作ではマグネットスタンドのような固定アームの先端にプローブを強力なクリップで固定して、基板に押し当てていましたが、以下のような問題がありました。
- ターゲットにプロービングを接触させてもスタンドの関節部を固定する時にプローブ先がずれてしまい、微小なターゲットに正確にプロービングするのが困難
- ようやく接触させても基板への安定した接触を維持するのが難しく、わずかな振動などで外れたり、測定が不安定となる
- プローブの形状や大きさがメーカーやタイプによって様々で、汎用的に安定してプローブを固定することが難しい
- プローブの数と同数の固定アームが必要となり、小さな基板の測定であるにも関わらず机上をスタンドのベース部分が占有してしまう
そこで、これらの問題を解決するべく、様々な検討を経て、重力をプローブ接触圧に利用する ”2Dタイプ プローブポジショナ(ミコプローブ)”の構造に辿り着くことができました。試作を評価した取引先からも非常に好評だったこともあり、一般企業、大学等への販売を開始いたしました。
2Dタイプ プローブポジショナ販売後、「平置き基板」だけでなくラックに入った基板や組込まれた状態の基板への要望も販売先より寄せられたため、”3D タイプポジショナ”の開発・設計にも着手。
3Dタイプの課題であった
- ターゲットへの微調整が行いにくい。
- 接触圧が確保しにくく、プロービングが安定しない。
等の問題を”2Dタイプの構造を取り入れた独自のアーム構成”や”長ストロークのスプリング構造を持つ先端構造”を開発するなどし、垂直基板に対しても非常に安定した接触維持性能を実現した3Dタイプポジショナを開発しました。
2Dタイプ プローブボジショナ(ミコプローブ)
2Dタイプとは机上などに平置きした基板に対応したポジショナです。
ミコジック独自の構造により、”レコード盤の上にレコード針を置く”感覚の操作性でプロービングを行えます。
- 片手でわずか数秒程度でプロービングできます。
- プロービングは非常に安定しています。
- 机上を専有する面積はΦ80程度と小型でありながら、アームの長さは最長400mmと広い範囲の測定をカバーできます。
- 必要に応じて脱着可能なルーペが付属しており、微小な箇所へのプロービングの作業性が格段に向上します。
- 測定対象基板の大きさや必要箇所に応じて、アーム長は標準で3種類(0-270mm,0-320mm, 0-400mm)また一つのベースに2本のアームが付いた2本アームタイプなどのバリエーションがあります。
ミコプローブには2021年1月現在、先端構造の違いにより、PFシリーズ、PAシリーズ、PLシリーズの3タイプがあります。
各シリーズにはアーム長により、3機種(270mm,320mm,400mm)の一本アームタイプ
また、一つのベースに2本のアームが付いた2本アームタイプが2機種で計5機種のバリエーションがあります。
各シリーズ毎の特長
- FETプローブやパッシブプローブを取付けて直接基板にコンタクトさせる PFシリーズ
- 硬質金メッキプローブを介して、微小な箇所へのプロービングに特化した PAシリーズ
- PAシリーズと同構造で、プリント基板だけでなく薄膜等の試料、微小電子部品などへよりソフトにプロービングするための軽荷重(PAシリーズ比約50%)タイプ PLシリーズ
となります。
PFシリーズ 2本アームタイプ PF-320W
プローブが取付けられたPAシリーズ先端(左)、PFシリーズ先端(右)
3Dタイプ プローブボジショナ
ラックに入ったままの基板や、製品に組み込まれた状態で垂直に立てた基板へのプロービングにもコンタクトさせることが可能です。
ミコジックの3Dポジショナは長いストロークのスプリングによる非常に安定したプロービングが特長です。
特長
- 長ストロークのスプリング構造を有した独自の先端構造による安定した接触圧。
- 微調整がしやすいよう、2Dタイプの構造を取り入れた独自のアーム構成(PVシリーズ)
3Dポジショナには2021年1月現在、アーム構造の違いにより、PVシリーズ、PSシリーズの2タイプがあります。
PVシリーズにはアーム長により、2機種(220mm,300mm)の一本アームタイプ
また、一つのメインスタンドにベースに2本のアームが付いた2本アームタイプが2機種で計4機種のバリエーションがあります。
PSシリーズはシンプルなアーム構成による簡易操作が特長でアーム長が200m㎡のタイプ1機種となります。
ベース及び、先端構造はPVシリーズと同じです。
各シリーズ毎の特長
- 微調整用アームにより、微細な箇所へのプロービング調整が可能 PVシリーズ
- シンプルなアーム構成により、調整及び固定箇所が少ないため簡単な操作 PSシリーズ
PVシリーズ 2本アームタイプ PV-220W
クランプ(オプション)で机に取付けられたPS-200
プローブポジショナ一覧
2Dタイプ プローブポジショナ 平置き基板専用
型式一覧
シリーズ名 | シリーズ特長 | 測定対象基板に対する適応 | 基板へのコンタクト | アーム本数 | アーム長種類 (mm) (アームを最大限、伸ばした時のベース部からの長さ) |
型式 | |
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水平設置 | 垂直設置 | ||||||
PF | ・2D(平面)プロービング用 ・オシロプローブを直接基板にコンタクト |
◎ | × | オシロプローブを直接、基板にコンタクト | 2 | 400 | PF-400W |
320 | |||||||
2 | 320 | PF-320W | |||||
270 | |||||||
1 | 400 | PF-400 | |||||
1 | 320 | PF-320 | |||||
1 | 270 | PF-270 | |||||
PA | ・2D(平面)プロービング用 ・オシロプローブを硬質金メッキプローブを介して間接的に基板にコンタクト |
◎ | × | 極小部品などへのプロービングに適した硬質金メッキプローブを介してコンタクト | 2 | 400 | PA-400W |
320 | |||||||
2 | 320 | PF-320W | |||||
270 | |||||||
1 | 400 | PA-400 | |||||
1 | 320 | PA-320 | |||||
1 | 270 | PA-270 | |||||
PL | ・2D(平面)プロービング用 ・オシロプローブを硬質金メッキプローブを介して間接的に基板にコンタクト |
◎ | × | PAシリーズよりもプローブ先にかかる荷重を軽くし、基板よりもダメージを受けやすい薄膜などにも使用可能 | 2 | 400 | PL-400W |
320 | |||||||
2 | 320 | PL-320W | |||||
270 | |||||||
1 | 400 | PL-400 | |||||
1 | 320 | PL-320 | |||||
1 | 270 | PL-270 | |||||
PV | ・3D(平面、垂直)プロービング用 ・オシロプローブを直接基板にコンタクト ・多関節タイプ |
○ | ○ | オシロプローブを直接、基板にコンタクト | 2 | 300 | PV-300W |
300 | |||||||
2 | 220 | PV-220W | |||||
220 | |||||||
1 | 300 | PV-300 | |||||
1 | 220 | PV-220 | |||||
PS | ・3D(平面、垂直)プロービング用 ・オシロプローブを直接基板にコンタクト ・少関節シンプルタイプ |
○ | ○ | オシロプローブを直接、基板にコンタクトさせる | 1 | 200 | PS-200 |